第21回インタビュー:受け継ぐ美意識を、今の自分に。 ― 宮キヌヨが語る、こだわらない美学
――今回は宮さんのこだわりの逸品についてお話をお伺いできればと思っています。例えば、アクセサリーとか、洋服とか、靴とか、メガネとか、持ち物や食べ物などです。普段、お洒落な宮さんだからこそ、何かこだわりがあるのかなと思いまして
私が一番苦手な話題ですね。こだわっていそうで、こだわっていないので。どこのブランドがいいとか、○○産のものがいいとか、特にありません。「ここはダメ」というのがないんです。
こだわりがあるとすると、ジュエリーの場合はリフォーム品が多いというところですね。
20代の時にメガネ店に勤めていた頃、展示会がある度にボーナスやお給料を使ってジュエリーをいっぱい買ったんです。ジュエリーのフェイクは好きではないので、全部本物です。
それに自分で買ったものだけではなく、おばあちゃんとか、お母さんとか、叔母さんから受け継いだジュエリーもたくさんあるので、そのジュエリーを少しずつリフォームをして、身に着けていますね。
――受け継いだものもリフォームされているんですね
そのままで使えるものもありますが、やっぱりデザイン面を見ると昔のものなので、基本的にはリフォームをしています。リフォームを始めたのは、20代の頃からですね。
自分のジュエリーはリフォームに失敗しても自己責任じゃないですか。素人ですけど自由に絵を描いて、「こんなリフォームをしたいんです」と伝えてリフォームをしてもらっていました。だから普段から、この石だったらこんな風にすると良いかなって考えていましたし、当時からジュエリーをリフォームをするのは好きだったんですよ。

――それって自分の好きな形を、自分で作りたいってことですか?
そうそう。相手もジュエリーが好きだと、いただいた相手に「こんな風にリフォームしましたよ」って見せられるからです。義理の母からもパールを頂いて、それをリフォームしたこともあります。それに石はファッション要素もありますが、歴史的に見るとお守りという側面もありますよね。だから身に着けていると守られている感じがあって、頑張れるんですよね。
私はそこをスタイリングの中で、わりとうまく取り入れている気がしますね。お仕事で頑張らなければいけない時は、リフォームのジュエリーを着けていることが多いです。
――これまでリフォームをした中で、一番気に入っているものってありますか?
叔母から頂いたキャッツアイの石ですね。
叔母は私が中学生の時からジュエリーをたくさん見せてくれる方でした。お子さんがいない方だったので、私がジュエリーに興味があると知ると色々と話をして下さるようになったんです。
叔母は若い時はブラジルに住んでいたということもあり、石に詳しい方でもありました。その叔母が98歳で亡くなったのですが、キャッツアイの石を受け継がせていただきました。珍しい石なのですが、思い入れがあると愛着のレベルが違いますし、これをリフォームしてどんな素敵な石に見せようと考えるのも違いますし、何よりリフォームした石を見せたら、きっと叔母は喜ぶだろうなという思いもあります。
叔母は亡くなる前は施設にいたのですが、私がダイヤを着けて行くとダイヤに反応するんですよね。ちょっと痴ほうが入っていても「あんた、良いダイヤしてるじゃないの」って、ニコニコしながら言うんです。やっぱり好きなもののパワーってすごいんだなって、その時に思いました。だから、叔母から受け継いだキャッツアイは大切にしたいし、活かしたいという思いがあります。
それに遡って考えてみると、コーディネートに興味を持ったり、品があるものが好きという感情は、多分ここから始まっていると思うので、とても大切にしたい気持ちがありますね。
――中学生の時に、叔母さんに連れていかれた場所で覚えているところってありますか?
何となく覚えているのは、呉服店のイベントに連れて行ってもらったことですね。叔母がイベントに呼ばれて、着物を着て出かけて行く時に、「着物のイベントに行くから、あなたもちょっと着物を着てらっしゃい」と言われて、母の着物を借りて出かけた記憶です。
そういう経験で楽しかったことが、私がコーディネーターに興味を持ったルーツに繋がっているように思います。受け継がれたもののエネルギーや思いというのは本当にすごいです。

――では次に、服だとどういうこだわりがありますか?
服だと、素材と色だと思うんですよ。品質のいい素材の服を長く着たいという気持ちがあります。どこのブランドの服かと言われると、確かに傾向としてはあると思うんですけど、そのブランドにすごいこだわりがあるわけでもありません。
――20代の頃と今とでは、服の趣味は変わったと思うのですが、どのタイミングで変わったかって分かりますか?
感覚的なものだとは思いますが、年齢とのギャップを感じ始めた頃じゃないですか?
過去のものが合わないと感じる時ってありますよね。そういう時って、自分の変化があった時だと思います。クローゼットを整理していて、膝上までしかないスカートを見つけて、いつから膝下のスカートをはくようになったんだろうって、最近思うんですよね。
――私が初めて宮さんとお会いした時は、確かに膝上のスカートをはいていましたね
そうでしょ。はけなくなっちゃったのかな(笑)
流行もありますし、体型の変化で着れなくなる服もありますけど、着れたとしても何か違うなって思うこともありますよね。
歳を重ねたら短いスカートを選ぶのがダメというわけではないんですが、今の自分に調和しているかどうかというのはありますよね。
――では靴はどうですか?
靴は色にこだわっているかもです。
このメーカーさん、ブランドの靴が好きだと思っていても、何年か経つとデザインが変わってきて、もう合わないって思うことがあるじゃないですか。だから、合う靴を大事に使わなきゃいけないことに気づきました。
これは絶対になければ困る靴は、本当に必要な時にだけ履くようにしています。特にカラフルな靴や、この色の靴はなかなか見つからないよねというもの、初めからサイズもぴったりという靴は、仕事の場面でしかはかないようにして、移動する時は別の靴を使っていますね。仕事で困らないように、長く履けるように工夫しています。

――では、宮さん自身がかけるメガネのこだわりはなんですか?
上品で知的、エレガントに見える様なメガネを選んでいます。あとはカジュアルになり過ぎないようにする、というところも気を付けていますね。
ただこの考えに辿り着くまで時間がかかりました。自分のことって中々わからないじゃないですか。自分を棚卸をしていく中で、上品で知的というのが好きなんだなとも気づくきっかけになりました。
――好きというのは、そういうふうに見られたいということですか?
見られたいというよりも、冒頭のジュエリーの話に戻るんですけど、中学生の頃から「上品」「知的」に面白さを感じたり、好きだと感じたりしていたので、そういう世界観が好きだからというところですね。
――なるほど。では、持ち物に対してのこだわりはありますか?
持ち物というのはバッグとかですか?
――いえ、普段持ち歩いているものとか、文房具とか、なんでも大丈夫ですよ
それでいうと、私はボールペンが好きですね。
――どういうボールペンですか?
上品なボールペン(笑)
ある程度重みのあるタイプのボールペンです。だからといって特別コレクションをしているわけでもないんですけどね。
本当は高いボールペンも欲しいのですが、これまで何度か失くしたりもしているので、コレクションにするのは諦めて値段は抑えるようにしています。ですが、かわいいボールペンを見るとつい、買ってしまいますね。

――では最後に、食べ物でいうと、以前宮さんは餡がお好きだというお話をされていたかと思うのですが、どうしてそんなに好きなんですか?
餡は、昔から身近にあったものなんですよね。子どもの頃はどちらかというと地味なものとして扱われていた印象があるのですが、その頃から餡が大好きで。
たとえば最中の餡と皮の相性や、どら焼きの餡と皮の相性など、あの絶妙なバランスが好きなんです。
今は餡が美味しいものやお洒落なものとして見直されているのもあって、その変化が何より嬉しいですね。
それに餡はとても奥深いものだと思っていて。どの餡にもそれぞれの良さがあって、食べるたびに違う楽しみがあるんですよね。
――今日はこだわりのお話が聞けて良かったです。ありがとうございます
いえいえ。それにしても、こうして話してみると思いのほか、こだわりってあるものなんですね。最初にも言った通り、今回は苦手な話題でもあったので。
ですが、今日話をしていて、私の中で大人のメガネ選びが難しく感じる理由がわかりました。これも一つの振り返りですね。



