第24回インタビュー:メガネをかけることで得られるものと、かけないことで失うもの

――今回はメガネの効果についてお話をお聞きしようと思います。まず、メガネをかけることで得られるものは何だと思いますか?

若さです。

外見的なところでいうと、老けて見えると思われがちですが、実際は若さを手に入れられるというのが、この仕事をしていてとても面白いところだなと思いました。

→ 若く見えるメガネフレームや色の選び方とは 
  https://mya-mya.com/202605-2/

――なぜ、メガネをかけると若く見えるんですか?

しわを隠せるからですよ。

実際はメガネのフレームの位置と目の下のしわや、くまの位置が重なるので、消えたように見えるんですよ。私の中では、「隠す」というより「消える」という表現の方が近いんですけど、お客様のメガネを合わせていて、ピタッときた時は、「くまが消えた」とおっしゃることもあります。

それがやっぱり、私は面白いなと思いますね。

――確かに面白いですね。他にも得られるものってありますか?

本来は視力ですよね。

本当はそれを一番に言うべきなのかもしれませんが、女性の気持ちとしては若さかなと思いました。

視力を手に入れるというのは、誰でもイメージしやすいものですし。

ですが、実際は想像以上の視界があるということは確かですね。

「見える・見えない」でジャッジしがちだと思うんですけど、見えるということは、そこに情報が入ってくるということです。

何気なく見ている世界ですが、看板の文字、建物の大きさや色、そこにいる人たちの姿は、脳にとっては全部が情報です。視力が上がると見えるものが増えるので、自分が作っている世界の幅も広がります。

「見る」という行為は無意識かもしれませんが、目で見ている情報は全部脳に入っていて、それを処理しながら生きています。

ですので、メガネをかけて鮮明な情報が見えている人と、鮮明ではない情報しか見えていない人とでは、日々受け取っている情報量にも違いがあると思っています。

メガネをかけて、今まで見えなかったものが見えるようになることで、自然と自分の世界が前に広がっていく感覚があるんです。前を見るということは、自分を前向きにすることとも、どこか連動しているように感じています。

――難しい話ですね。他にも例えはありますか?

そうですね。

気持ちが落ち込んでいる時や、心身のバランスを崩している時は、視力測定が安定しない方もいらっしゃいます。実際に、普段より見えづらくなるケースもあります。

――では、そういう状態の人がメガネをかけて視界が広がると、気持ちも変わっていくんですか?

それが、少し難しいんです。

視力がうまく出ないこともあるんですよ。

――測れないというのは、どういう状況ですか?

度を上げても、視力に変化が出ないということです。

専門的なことは分からないのですが、実際のお客様と向き合ってきた経験の中では、心や身体の状態と“見え方”には何らかの関係があるように感じています。

また、「最近調子が良くなってきました」とおっしゃる方の視力を測ると、以前より見え方が安定していると感じることもあります。

心身の状態によって見えづらさが出ている場合は、体調の変化とともに急にクリアに見えるようになるわけではありませんが、少しずつ見える方向へ変化していくこともあります。

――そういう事例があるから、メガネをかけて、くっきり見える方が前向きになれるというわけなんですね

そうなんです。

「見える」ということが、日々の感覚や気持ちとどれだけ連動しているのかというのは、みなさんの視力を測定しながらお話をしている時に感じることですね。

――それは生き物として、物事がはっきり見える方が自然だからということなのでしょうか?

そうだと思うのです。

調子が悪い時というのは、見たくないことが起きていることもありますよね。

そういう時に、はっきり見えている状態というのは、自分にとって少しつらい場合もあると思うんです。

見えない方が楽だと感じてしまう時って、ありませんか?

私は、そうした心の状態と“見ること”は、どこか連動しているように感じています。

だから、メガネを変えようとする瞬間は、気持ちが前に向く瞬間でもあります。

見えづらい、度が合わなくなってきたと感じたから変えていると本人は思っているかもしれませんが、昨日まで見えていたものが急に見えなくなったわけではないので、実は緊急性はそこまで高くないんです。いつ変えに行ってもいいものですから。

でも、そんな中で実際に動いた瞬間というのは、「このままでは前に進みにくい」と感じた時でもあると思うんです。

ということはつまり、前を向いたということとイコールになりますよね。

――そう思うと、似合うメガネ診断ってちゃんと合っているということなんですね

そうなんですよ、実は。

でもこれは、お客様たちと向き合って会話をしてきた中で気づいたことでもあります。

――では次の質問です。先ほどの質問の反対になるんですけど、メガネをかけないことで失うものはありますか?

参考になるかは分かりませんが、「メガネをかけましょう」とお伝えするようになったきっかけがあります。

私が20代の頃に、80歳の方がメガネを作りたいといらっしゃいました。

今までメガネと無縁だったそうで、目を測った時に、視力がなかなか出なくて0.2でした。

レンズの度を上げても、視力が変わらなかったんです。

メガネは作らず、眼科をおすすめしたのですが、その時に感じたのは、「見える」という感覚そのものを長い時間使ってこなかった場合、急に見える世界を作るのは難しいこともあるんだな、ということでした。

「こんなケースもあるんだ」と知った出来事でした。

ある程度、「見える」という世界を日常の中で持っていないと、「急に見えなくなって困っているから見えるようにしてほしい」と言われても、難しいことがあります。

常に見えている世界がどういう状態なのかということを、自分の感覚として持っておくことは、とても大事なんだと思っています。

――ぼんやりとしか見えていないのが普通だと、その状態に慣れてしまうということですね

そういうことです。

見えづらい状態が当たり前になってしまうと、「見える世界」への感覚も少しずつ鈍くなってしまうんですよね。

レンズを入れれば誰でもすぐ見えるようになる、というほど単純ではないと、私は感じています。

だから、質問の答えとしては、メガネをかけないことで、「未来の見える力」を失ってしまう可能性がある、ということになります。

――そう思うと、重い話ですよね

そうですね。

だからこそ、そういうことをきちんと伝えたくて、国家資格の勉強をしたというのはありますね。

――ただ、どこまで見えなくなったらメガネをかけるのかという線引きって難しいですよね

メガネをかける意識が低いと、そう思ってしまうと思います。だから、意識を高めることも大切だと思っています。

そういう時に効果的なのが、サングラスです。

外に出る時、「眩しいからサングラスならかけようかな」という気持ちになりませんか?

眩しい状態が、サングラスをかけることで楽になるというのは、とても分かりやすい体感です。そして、「サングラスがある方が楽だな」と感じると、自然とかける習慣ができますよね。

メガネをかける習慣がなく、面倒でかけないというケースの方には、「まずはサングラスから始めてみましょうか」とお話しするケースも多いです。

今流行りの調光サングラスだと、室内ではそのままで、外に出ると色が付くので、取り入れやすいんですよ。

メガネをかけることで得られるものは多いですし、かけないことで失うものも大きい。

だから私は、「メガネをかけた方が良いことはたくさんありますよ」ということを、いつもお伝えしています。