第17回インタビュー:もし宮キヌヨがメガネと出会っていなかったら
――今回は、もし宮さんがメガネと出会っていなかったら、どうなっていたのかというお話を聞きたいと思います
面白いですね(笑)
メガネと出会っていなかったらかぁ。
――もしメガネと出会っていなかったら、20代は何をしていたと思いますか?
OLかな。

一番最初に勤めていたのは会計事務所で、26歳の時に人生の岐路に立っていました。ファイナンシャルプランナーになるか、メガネの仕事にチャレンジするか悩み、その時にメガネの仕事を選んで今の人生を歩んでいるので。
メガネに出会っていなければ、ファイナンシャルプランナー一択になっていたかと思います。
――どうしてファイナンシャルプランナーになろうと考えたんですか?
ライフスタイルの相談と数字を結び付けて考えていくということに興味があったんです。勤めていた会計事務所の中で保険代理店もしていたので、考えていくことは身近だったというのもあるのかもしれません。
数字とライフ。収入をどうするのか、年金がいくらあるのか、お仕事を辞める場合いくらあればいいのかなど、人生ではお金について考えていくことがありますよね。それを数字を使って考えていくのかが、とても面白かったんです。
――意外ですね。今の宮さんを見ていると、とても感覚的な人に見えたので
意外とそうなんですよ。
ライフプランナーイコール保険かどうかは分からないけれど、近い業界にいたと思いますね。
お休みは年間130日ぐらいは欲しいかな。週休2日で有休もあるところ。今とは全く違いますけどね。
――その後、結婚をして子どもが生まれた後とかは、どうしていると思いますか?
正社員でお勤めをしていて、産休を取って子どもを産んで、そのまま同じ会社に復帰とかかな。
――そちらの道を選んでいたら、独立をしようとは思わないということですか?
思わないですね。
でも上を目指すということは、やっていたと思います。
――会社に復帰をしたら、そのままずっとそこにいるということを選択していたのでは?

そう思います。アイデアを出したり、考えたりすることは好きなので、そのチームの中で考えながら色々提案していったと思います。
――なるほど。今回、こういう話をしたのは、以前お話を聞いた時に宮さんが「もしメガネと出会っていなかったら老眼をかけるのに抵抗した」という話を聞いたからなんです
そういう意味でいうと多分私は老眼は嫌だなと抵抗しながら、本当に見えなくなるまで老眼鏡はしなかったと思います。
ファッションが好きなのは変わっていないと思いますし、老眼鏡をコーディネートには入れていないのではないかなと思いますね。
――そうですよね。昔からファッションが好きだっておっしゃっていましたもんね
そうそう。外見にはこだわっています。
20代に面白い時期があったんですけど、メガネ業界に入りお給料が、一般の事務職よりも下がった時期がありました。この差をどうやって埋めようと思って考えた結果がですね、ジュエリーを社員割引きで買えるだけ買っていました(笑)
ジュエリーも販売しているメガネ店でしたので、お値打ちものだったり、質の良いものだったり、ジュエリーの勉強もさせていただきました。
当時買ったジュエリーは未だにそのまま使っているものもあれば、リフォームをして使っているものもあるんです。いずれにせよ、23年間大切に仕事でも使っています。だから今になって、すごくいい買い物をしたと思っています。
――確かに。それって20代の頃の話ですものね。ちなみに、一番初めに買ったのは何だったんですか?
18金製のピアスです。
――そういうのも子どものころから好きだったんですね
そうですね。アクセサリーとか、バッグとか好きだったと思います。
――それって憧れの人や目指している人がいたんですか?
雑誌はよく見ていました。だから、メガネと出会っていなくても、きっとお洒落を追求していたと思いますよ。

――では、質問を再開しますね。ちょっと複雑なことを聞きますけど、メガネと出会わなかった宮さんが40代を過ぎた頃に老眼になってきます。その時、まだ老眼はかけたくないなと思っているところに、メガネと出会っている宮さんが現れた場合、メガネと出会っている宮さんは、メガネと出会っていない宮さんに何と言って老眼をかけるように勧めますか?
老眼をかけていなかったら、私は絶対に頭痛持ちだったと思うんですよ。だから、まずは頭痛がなくなりますよと伝えます。それに、老眼をかけると老けるのが嫌だと言っていると思うので、「そんな風には見えないから大丈夫、むしろ若く見えるから大丈夫ですよ」と伝えて、メガネもアクセサリーのようにつけられるという視点を教えてあげると思うんですね。
今答えてみて気づきましたけど、普段私がお客様に対して言っていることと同じなんですよね(笑)
だからきっと、私がメガネと出会ったことでそうなっていただろうなと思うことを、実際に今もお客様に対して言っていたようです。
――何だか哲学のようなお話ですね。ですが、きっとメガネと出会っている宮さんにそう言われたら、メガネと出会っていなかった宮さんはメガネに興味を持つようになると思うんですよね。そしたら、そこから今の宮さんと同じになると思いますか?
それはならないですね。そこからメガネの世界に飛び込んで行くというよりは、「メガネって面白いよ! だからあの人の所に行ってみて!」って、言いふらしていると思いますね(笑)
――じゃあまたちょっと話が変わるんですけど、改めて宮さんが思う宮さんらしい生き方ってなんだと思いますか?
私らしい生き方か…。自由を求めつつも、流れに逆らわない生き方ですね。ただ、今までは流れに身を任せて、ゆらゆら流されていました。でも今は、流れに沿ってちゃんと自分で漕いで進んでいる感じがあるんですよ。道はもう決まっていますし、流れに逆らっているわけではなく、ただ身を任せていただけではなく、自分からも向かおうというふうにできることに気付いた、というイメージかもしれません。
あとは、このまま流されているだけだと、60歳になってもまだたどり着かないかもという感覚があったので、60歳までにたどり着くために自分でも漕ぎ始めたという感覚です。
私は元々マイペースなところはあったのですが、ちょっとマイペース過ぎたというのがあったというのはありますけど、こういうのは子育てとのバランスもあると思っています。今は、自分の時間が増えたので。
――お子さんは今は高校生でしたっけ?
はい、高校2年生です。自分のことは自分で考えて行動できる年齢なので、私も自分のことを考える時間が増えましたね。
――実際に自分で漕ぎ始めてどうですか?
こういうのってハードだなって思いますよね。体調管理とか。歳も重ねていくにあたり、より課題になってきていますが、でも「楽しい」が入ってきているので、バランスよくできたらいいですね。
――60歳まで漕ぎ続けられそうですか?
わからないです。どこかでペースを自動でちょうどよくする自動ボタンを押すかも(笑)
今は分からないですけど、こんなところに自動ボタンがあったんだというのに気づいて、60歳からは少し楽な状態で進められたら面白いな、という感覚はありますね。

――自分で漕ごうと思ったのって、けっこう最近の話なんですよね?
ここ数か月のことですね。
――それって、自分でも漕げると気付いたということですか?
そうそう。あれ?って思うことがあったんです。
ずっとできないできないって思い込んでいたんですけど、立ち止まって振り返るとメガネのどんなことでも答えられるようになっていて。これまで一生懸命に仕事をしてきた成果が出てることに気付きました。
それに色々な場所で自己紹介をする時に、自分はメガネの専門家だったんだなって改めて気付いたというのもあります。
――私からすると、もうずっと前からメガネの専門家だと思っていましたよ
気持ちはね、きっと(笑)
でもようやく自覚できたんです。それもあって、自分でも漕げると思ったんだと思いますね。
――なるほど。じゃあここからまた、少し違った宮さんが見えるかもしれませんね
基本は変わらないと思いますが、今はとにかく漕いでいこうと思います。その中で、見える景色が変わってきたら、きっと私も少し変わったんだろうと思えると思います。60歳で目指しているところに辿り着けるようにしたいですね。



