第1回インタビュー:似合うメガネ診断ができた経緯は?

――まず初めに、メガネ業界に入ったきっかけを教えて下さい
私の主人の父がメガネ店を経営していて、私が転職で悩んでいる時に義父にメガネ店で働くのもありなんじゃないかと言われたのがきっかけです。
これまでメガネ店で働くという選択肢はなかったのですが、当時からファッションにも興味があったので、私のアンテナに引っかかりました。
当時の私は、26歳です。それまでは、ファイナンシャルプランナーの資格を持ち、税理士事務所に勤めていましたが、全く違う業界にチャレンジしようと思い、パートからでしたが飛び込みました。
メガネ店さんで働き始めてすぐに、疑問に思ったことがありました。

妥協しながらメガネを選んでいるというところです。メガネは決して安い金額ではありません。ですが、見えないと困るため、その人にとっては絶対に必要なものです。だから道具として買っているという感じでした。
中には楽しみながらメガネを選ばれている方もいましたが、それはほんの一部です。
そういった姿を見て、私はもったいないと思いました。しかし、この業界に入ったばかりの私の話を聞いてくれる人はいません。実際に私がメガネを販売できるようになるまで、3年はかかりました。
――売れるまでは何をされていたんですか?
売り場の掃除係から始まって、フレーム磨き。これだけで1年半です。
――そんなに長い間、売る事すらできなかったんですね
パートから入ったというのもあると思います。ただ、毎日掃除ばかりしていたら、胃が痛くなりました(笑)
でも、気づかないうちに、メガネの特徴を覚えていて(笑)
なかなか正社員になれず、それでも、この業界を諦めて元の業界に戻るという選択肢は、まだありませんでした。
そんなとき、メガネのコーディネーターさんが来ているメガネ店さんと出会い、そこで正社員としてお勤めすることができました。
この頃からメガネに関する仕事が徐々にいろいろなことができるようになりなっていきました。
――メガネのコーディネーターさんからも教わっていたんですか?
メガネコーディネートの研修に行かせてもらったりしていましたし、お店がコーディネーターの先生を呼んでイベントをしていたので、その時はお客様の横で一緒に真剣に聞いていました。
コーディネーターの先生が説明をして、実際にメガネをかけるとその人が本当に変わって見えました。それが見ていて面白かったので、私もそういうことをやりたいと思い、1歩1歩メガネのコーディネーターになれるよう日々勉強を積み重ね、現在に至ります。
――では、そこのお店でたくさん勉強をした後、独立をされたのですか?
そうですね。
子どもができた時だったので、思い切って決断をしました。

――似合うメガネ診断を始めたのは、西暦で言うといつ頃ですか?
曖昧ではありますが、2010年から考え始めて動き出したと思います。
――その頃に独立したということですね
そうですね。
――似合うメガネ診断は、どうやって思いついたのでしょうか?
起業をしていくにあたり、どうやって自分のサービスを分かりやすく伝えられるのかを考えました。
今はネットで調べると、メガネの理論として、こういうバランスでかけたほうがいいというのはありますが、当時はそういったものはなかったので、「似合うメガネとは何なのか」について、30分ぐらいのセッションで軽く話せたらいいなと考えました。
何処で話すのかを考えた時に浮かんだのがマルシェです。マルシェは色んな物を売ってアピールをするところです。その中には商品だけではなく、サービスを提供しているところもありました。だから私もここならと思い、出展することにしました。
――反響はどうでしたか?
珍しすぎて(笑)
ただ、メガネをかけている人は来てくれましたし、予約も入りました。人数は安定はしていませんでしたが、0人の日はありません。あの頃は、これまで伝え続けていたことを、ここで出していかなくてはいけないと本当に無我夢中でした。
――マルシェでは、何か感触をつかむことができたのでしょうか?

掴んだんだと思います。
初めは30分で話せるストーリーというのが課題でしたが、お客さんと対話をしていくうちに、だんだんと30分で話せるようになりました。今思うと、それが今の私の土台になっていると思います。
――マルシェの次は、どこを活躍の場に選んだのでしょうか?
異業種交流会です。交流の場に色々と行き始め、人との繋がりも増えていきました。
ちょうどその頃、子どもを保育園に預けることも出来るようになり、フルタイムで働ける環境が整ってきたというのも大きかったと思います。
――似合うメガネ診断は、どんな風に進化していきましたか?
初めはカラーセラピーもない、顔(骨格)診断だけのメガネ診断でした。
肉付きと、骨格と、度数。メガネはどうしても度数が入ってくるため、そこも考慮する必要があります。
その後、イベントでパーソナルカラー診断とコラボで行っていました。
当時、私が似合うメガネ診断をしても、買う人もいれば、買わない人もいました。どう見ても似合っているのに、中には「似合わない」と言う人もいましたし、迷う人もいました。その時に、カラーセラピーを勉強していたので、一緒にカラーセラピーをしてみると、迷っている人が迷わなくなったんです。
そこから、似合うメガネ診断は外見だけじゃなくて、思いをたくさん聞いた方がいいんだなって気づきました。
似合うメガネ診断とカラーセラピーを一緒に行うようになり、「似合わない」と思う理由を探求しているうちに、他の部分にも興味が湧いてきたということです。
その当時、ちょうどテレビに出ることができたということもあり、より全体でのバランスに意識が向いていたんだと思います。感覚ではなく理論的なところも勉強したい、そう思い、スタイリストの勉強も始めました。
――スタイリストの勉強は、お客様をもっとトータルで見れるようになった方が変われると思ったからでしょうか?
変われるというのはありましたが、その前に自分が自分に落とし込めていないと、どう変われるのかを伝えられないじゃないですか。だからまずは自分が変わってみようと思いました。
メイクも習っていたので、トータルで繋げていきたいという意識が高まったというのもあります。
――トータルで見るようになると、お客さんの満足度は上がりましたか?
変わりました。話に統一性が出てくるからです。信用してもらえるレベルが上がったんだと思います。
紹介にも繋がりましたし、リピートにも繋がりました。

――似合うメガネ診断の進化についてですが、今は意識しているところに変化はありますか?
今は人としての気品を大切にしています。
――品ですか?
大人としての品。
――それもきっと人によって品の質が違うんですよね
そうです。人によって違います。
品を大切にすることで、自分のことも、相手のことも大切にできますし、だからこそメガネも大切に扱えるようになっていると思います。
――似合うメガネ診断を、今後はどう発展させていきたいですか?
さらに「似合う」ようにしたいです。もっと探求したいですね。
似合うメガネをかけることで、ご本人の変化が必ずあります。人としてのステージが変わっていくので、それに合わせてメガネも変わっていけたらと思っています。
3年前に作ったメガネでは、絶対に合わないはずなんです。だから、その人の変化とともにくっついていきたい、メガネも顔だから。その顔をいつも作らせていただけることに、私の喜びがありますし、その変化を一緒に分かち合いたいです。
――そのために宮さんがする、努力はありますか?
みなさんの話を、常にいい状態で聞けることです。
――いい状態?
もし私が疲れていたら、話しが聞けないじゃないですか。みなさんの色々な話を聞いて、それを形にするのが、私なので。自分自身の直観力も大切にしています。
似合うメガネ診断を受ける人は、変わりたいと思っている人たちばかりなので、そのメッセージを常に受け取れる状態でいたいと、私は思っています。